妻の面会に行って、また悲しくなってしまった2009年06月07日

 昨夜妻が家に帰ってきて一人で泣いている夢を見て、今日は何も考えられず施設に面会に行ってしまった。
 妻は食堂広間で一人でぼんやり座っていた。近づいて声をかけたとき妻が発した言葉が、「どなたですか?」「どちらからいらっしゃったのですか?」なのだ。「僕だよ。お前の夫だよ。」と言っても、まだ「どちらからいらっしょったのですか?」と丁寧言葉で怪訝な顔。
 思わず涙がこぼれそうになるのを施設の職員に気づかれないようにしながら部屋を変えて、談話室で話し始めたら少しは分かるようになって丁寧語はなくなったけれど、私の話には「忘れた。」「分からない。」とはにかんだような顔をするばかり。それでいて、よく面倒を見てくれていた次男の嫁と孫3人のことを尋ねてくる。孫の名前はすらすらと何回も口のするのだけれど…。
 私としては、私以上に良いアイデアを考えだしてはそれを家事に子育てに仕事に生かし、行動的だったかっての妻の姿を思い出して、その不憫さとやるせなさに胸が詰まる思いで涙をこらえるのがやっとのことだった。
 そして、 「また時々来るし、外出や外泊で時にはウチに来れるようにするから…」 と言うと、「家は遠いんです。」「ここは家からず~っと遠いんです。」とつぶやく妻。
 行ったとき、一人ボ~ッと広い広間で座っていた姿を思い出すと、もう涙をこらえきれなかった。


 第三者のそうした病気から生じる状態や行動については同情はできても切実感はないけれど、50年近くも共に生活してきた妻のこととなると、どうしても≪以前はあんなに出来たのに≫という病前の事々を思い出し、いまの姿と比較する感情が生まれてしまうので、心の痛みはとてつもなく大きい!
 いまはどこかで大声で泣きたい!!