“可哀そう”と思ったら、涙が止まらなくなってしまった2009年05月05日

 ゴールデンウイーク中の一日、今日は息子家族も出かけないというので、妻に孫を会わせたいと思い、施設での昼食を終えたころ迎えに行って家に連れてくることにした。 妻の病は、自分の名前も自分の息子の名前も分からなくなってしまっているのに、世話をしてくれていた息子の嫁と孫3人の名前は即座に言い出せるのだから。

 施設には夕食の時間までに戻ると約束してきたので、妻が家にいた時間はたかだか4時間足らずだったが、その間妻は「何にもわからない(>_<)」「なんにも出来ない(*_*; 」と言い続けるのだ。この言葉に私は思わず「可哀そう!!」と抱きしめてしまった。そして私の目からこぼれおちる涙は止まらなくなってしまった。 「何にもわからない」「なんにも出来ない 」と何度も嘆くように絞り出す言葉に、私はこの病に侵される前の妻は、私以上に“何でも出来た”し“なんでもわかる”人間だったことを思い出してしまったのだ。

 どんな病(ヤマイ)でも、罹ってもいい病なんて無いし、どんな病にせよ病中は苦しいし辛いし悲しいけれど、妻と対していて、アルツハイマーという病ほど人間としてはこれ以上に悲惨な病は無い、と私は思う。

コメント

_ 匿名 ― 2010年05月03日 00時25分35秒

同感です。
でも奥様は抱きしめて泣いてくれる旦那様がいてお幸せな方だと思います。
世の中には虐待される方もいらっしゃるのですから・・・

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